小さな命、クワガタを生かしている自分 『クワガタクワジ物語』

2年生の夏至の日に
家の近くの八幡さまの森にあるクヌギの木でつかまえた
3びきのコクワガタ。
太郎くんは、それまでがんばってもがんばっても
つかまえられなかったクワガタを一度に3匹もつかまえて、
飼うことになりました。

名前だってつけました。
お兄さんらしく落ち着いているように見えるのがクワイチ、
ちょっと小さめなのがクワゾウ、
いちばんあばれんぼうなのがクワジ。
きっと3兄弟に思えてならないのでした。

つかまえたときのことや
3匹が育ったであろう幼虫時代やさなぎ時代のことも
それから何度となくお母さんといっしょにお話にして
話したり話してもらったりしました。

クワガタの家として用意されたのは大きな樽。
「第一クワガタマンション」と名付けられて
3匹で飼っているうちに、ほかのクワガタも加わったりして
にぎわいます。
学校にもクワガタを連れて行ったんですよ。
3兄弟のクワガタ、は家の中を歩き回ったりしながら
樽の家で元気に生きていました。

めんどうをみて冬越しもしました。
自分以外にたすけるもののいない小さな生きものを
たいせつに育てる様子がとても尊いです。

家出したクワゾウが帰ってきたときのことは、
なにがなんでも、たくさんの人に読んでほしい場面です。
124ページから126ページにかけてです。
涙なくしては読めません・・・

本能に支配された生きものたちの行動を
「どうしてか」
と考えるのは人間の勝手のようではありますが
やっぱりそれも含めて
自然界の流れなんじゃないかと思えます。
また、そういうふうに考えられる温かい心を持っていたいです。

物語最後の一文は、

「あーー、生きものって、人間も含めて
みんなみんな、こうだよね。」

と思える一文です。

2年生だった太郎くんは物語のおしまいには4年生になっていますから、
3年生4年生そして5年生くらいの人たちにとくに勧めたいな。
それから、大人。

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