質問することは人間が持つ最重要ツール 『たった一つを変えるだけ』

この本、自分が学生の頃に読みたかった。

私はこういうことをまるで知らずに学校を出てしまった。
思えば自分はどんな仕事がしたいのか、とかも考えず、
就職のときには、どの会社に行くかぐらいしか考えなかった。
愚かでした。
しかし、昔はそんなもんでした。
キャリアカウンセリングとか、受けたかったな~~(泣)

という後悔と愚痴はまあ置いといて。

質問する力がだいじだとはこの頃叫ばれている。
いろいろ本も出ている。
この本は、その種の本の中でも
質問力の大切さと
どうやってその力をつけるか、つけさせるか、をかなり上手に伝えていると思う。

自分で作った質問だからこそ、
生徒たちは、前向きに、しかもいろんな方法を考えて答えを出そうとする。
質問されたら、もうそれは
先生から与えられた課題であって、
いやいやながらおざなりな答えで済まそうとする姿勢になる。
しかも、正解か不正解かで評価されるだろうという予測もついてくる。

いろんなことに「?」を持って
それを解決しようとする姿勢が
より良く生きることにつながるのです。

「クラスも教師も自立する」とはありますが、
教育関係者だけじゃなくて普通の大人も
この意識を持つか持たないかで人生が変わるんじゃないかと思える。
大人もまだ間に合う!
より良く生きる第1日を踏み出したいもんです。

ロボットと野生の接点とは? 『野生のロボット』

けっこう分厚いんだけど、
章立てが細かく、80にも分かれているので読み進めやすいのです。
そのうえ、ページごとにあるかと思うくらいたくさんの挿絵が
分厚さを感じさせません。

題名を見ても最初の一瞬は不思議にも思わない。
次の瞬間に、ロボットって野生になれるんだっけ?
という疑問がわいてくる人もいるでしょう。
私の場合は、かなり時間がたつまでその疑問にすら
行きつきませんでした。

貨物船が沈没して積荷のロボットが海に投げ出されたんです。
好奇心旺盛なラッコが、全ての事の始まりを作りました、意図せず。
そして、ことは展開していくのです。
野生には悪意はなく、そして野生は残酷でもあります。

けれど、絆はだんだん育っていきます。
だんだん育っていくもんなんですね、絆は。
時間をかけて少しずつ。

接点がないはずの野生とロボットが「心」を通わせるのは可能なんでしょうか?
児童書に分類されていますけど、
大人も味わって読みたい世界が形成されています。

図書館を舞台にしたミステリーを書きたかった作者による 『晴れた日は図書館へいこう』

クラスの安川くんが、
「60年間延滞した本があるんだけど
どうしたらいい?」
って、深刻そうにしおりに相談してきた。
60年間っていったいどういうこと?
それは、おじいちゃんが中学生のときに借りた
『初恋』という本だった。

人気の小説シリーズが大量に図書館からなくなり、
不明本になっていた。
いくつかのシリーズをまたがっているし、
作者もばらばらなのに、なぜ?
いったい誰がそんなことを。

図書館には日々ミステリーが起きる。
図書館大好きなしおりと従姉妹の司書・美弥子さん、
本なんか一度も借りたことなかった安川くんたちが
ミステリーに巻き込まれていく。

図書館好きな人も、図書館になんか縁がない人も
どの人の心にも隠れているいろんなひみつに
気付かされます。

ゆめがかなったね。ぼくたちのこと忘れないでね。 『ぞうのオリバー』

サーカス団にはいる象たち。
10頭しか注文してないと言われ、
11頭目のオリバーは、ひとりぼっち!

犬のふり できますよ!
けど、えさがない。

馬はいりませんか?
きみ、ぞうっぽいけどね。

オリバーはいつも明るいんだ。

公園へ行き着いて、プランコ、シーソー、すべり台。
どうやってあそぶ?

子どもたちと、おとなになったら何になりたいか話し始める。
オリバーは、おどるのが大すきだから、
サーカス団にはいりたい!
って言って、おどり始めるよ。

おどりの上手な象がいる! って、大ぜいの人が集まってくる。

すきなことを一途に求めてる。

人生は生きるにあたいする。
っていう子どもの本の大事な点を
完璧にそなえたお話だと思う。

子どもたちがオリバーを送り出すときのことばが
冒頭のことば。

ゆめがかなったね。ぼくたちのこと忘れないでね。

シド・ホフさんの絵が希望を倍増させています。

なんという名前なのかだれも知らない 『熊とにんげん』

名前なんかだれも知らないからみんなが「熊おじさん」と呼んでいた。
友だちが2人いた。
熊と神様。

ゆっくりと、いつも同じ、ひと呼吸に3歩の足取りで歩いていった。
いなか道にとけこんで。

角笛を吹いた。美しくやさしい音色。

太陽、嵐、雨が、熊おじさんの顔に数えきれないひびやしわを刻みつけ、
髪は白くなった。
それでもひと呼吸に3歩の足どりで、
おじさんと熊は歩いていた。

形は違っても、実は自分も同じだ、と思う。
そして、それでいいんだ、と思う。
自分のやることを黙々とやる。
疑わずにやる。
ってこと。

日がすぎ、年が流れると
命が終わるときが来る。
自然と。
そういうとき、木々に咲いた花を
「今年がいちばんきれいなんだ」と感じる。

今も、よく聞き取れる耳を持った人なら
おじさんが吹いていた角笛の音を聞くことができる。
それは何かに似ているのだ。

読んでいるうちに、宮沢賢治の世界ともつながることを感じる。
トミー・デ・パウラの『神の道化師』 だったかな?
のことも思い出しました。

たくさんの子どもの本を訳した上田真而子さんが、
いちばん好きな作品だという『熊とにんげん』。

強い言葉は何にも書いてないのに
生き方に示唆を与えてくれるとか
弱くなる心に勇気を与えてくれるとか
そういう作品です。

さびしくても友だちを見送れる? 『ねずみ女房』

バーバラ・ウィルキンソンというご婦人の家にすむ、めすねずみ。

ある日、森でつかまえられて家にやってきた きじばとと
話すようになる。
外の世界にある 丘のこと、麦畑のこと、雲のこと。
見たことのないもののことを聞いて
それを想像するようになる。

けれども、はとは、用意される豆もあぶらみも食べずに
やせ細っていきます。
めすねずみは、何かわからないけど、
はとを外の世界に帰してやらなければならない気がした。
めすねずみの目には、はとのために流した涙のあとがあった。

ねずみ流にしか考えられないけど、はとの気持ちは想像できました。
そして決心しました。
はとが入れられているかごのとめ金に、歯でぶら下がって
戸を開けてやろうと。

歯がちぎれそうになるまでぶら下がっていると、
はとは、気付いてかごを出て、やがて窓の外へ飛んでいった。

めすねずみはその後、目をまわして下に落ちて
はとが飛んでいくのを見ると、
起き上がってからだをゆすり、毛についたごみをはらいました。

もう、窓の外の世界の話をしてくれる者はありませんでした。
それがわかっていても、戸をあけて見送ったのです。
めすねずみの目には涙がやどっていました。
そして窓の外を見ると、星が見えました。

あの星も、わたしに見えないほど遠くはないということだ、と
めすねずみは言いました。

この本をもっと手に取られるようにしたいが、どうしたらいいかな。
もちろん、極力、紹介するのがいちばん必要なんだけど。
表紙の絵の場面をアピールするのも良いだろう。
石井桃子さんの訳が本当にあたたかく前編を貫いているのを感じる。
一方で、「女房」ということばが、なんだか疎遠な感じになっているのがちょっと気にはなる。

くまの子からの手紙を、泣きながら読むうさぎの子 『森に学校ができた』

うさぎは冬眠しない。くまは冬眠する。
「ぼく、ぜったい冬眠なんかしないから」と言っていたくまの子・ダンは
「もう眠くて学校に行けません」とうさぎの子・ジャッキーに手紙を書きます。
ジャッキーは、その手紙を泣きながら読むのでした。
そのことも、なんて罪がないんだ! と感動しますし、
さらに、
泣きながら読んでるジャッキーの挿絵があるんだけど、
その絵が、なんとも言えず情感あふれてすばらしいんです。
「人生は生きるに値する」ということを十二分に感じさせてくれます。
(動物だけど 笑)

森に学校ができたきっかけもすてきだし
毎日そこで習う内容も、生きるのに欠かせないことばかり。
学校ってそもそもこういうところじゃなかったのか? なんて
よけいなゴタクまで言いたくなるような。

キノコ採りについて習った日、リスのチャップが
さっそく実践して成功と失敗を体験するお話も、
だれかに話して聞かせたくなります。
翌日食べた大きなキノコには、
チャップが崖から滑り落ちたときについた
大きなへこみがついていたんだよ~!

6つの章があって、6つの種類の動物の子が主人公になります。
それぞれに苦しいことや悩みがあって、
ほんとにけなげな「人生」の断面が切り取られて描かれています。

子ども用の童話、と軽く扱っちゃあいられない気持ちです。

アメリカで起こった実話? それとも?・・・『大きなたまご』

ネイトが、めんどりの1羽のようすがおかしいのに気付いたのは5月ごろ。
そして、6月半ば、その奇妙なことは起こった。
かわいそうにめんどりは、たまごからかえった生き物を見て
すっかりきもをつぶしたようでした。

そのことが起こった場面を読み返していると、
また細かく読んじゃうくらい、
ネイトやとうさんやチーマー先生や
めんどり、当の生き物のようすが
生き生きと描かれています。

チーマー先生は、ワシントンの国立自然博物館のケネディ博士あて、
電報を打ちます。
「セイゴイチニチ、イキタトリケラトプスアリ、
シキュウオイデコウ チーマー」

見識と寛容と見守る心を持った大人たちに守られ、
その生き物とネイトは新しい展開へと進んでいく。

アメリカで起こった実話?
それとも?

香り高く何度でも読み返したくなる小品集『東京日記』

内田百閒作『東京日記 他六篇』
1934年~1948年の間に発表された短い作品が集められた
珠玉のような文庫本。
特に「長春香」と「柳検校の小閑」が印象深い。
柳検校は、明らかに盲目の音楽家宮城道雄がモデルになっている。
内田百閒がその親しい交流を通して見聞きしたことを題材に
描かれているのだろう。
きっとある一日、こういう出来事があったのだろう
というような断片が細やかに描かれている。
描写が美しく、毎日の暮らしの小さなことや
心の動きがしみじみと伝わってくるのが
読み手に心地よく、
何度でも読み返したくなる味わいがある。
読んだ後、ずっと、作品中の空気が
自分の中に残るという感触がある。

語る価値のある何かをあなたも持っている 『TED TALKS』

自分なんか平凡で、他人に語れることなんか何もない、って思ってる。
普通の人の多くはそうですよね。
けど、自分の体験や洞察を過小評価しないで! ってこの本の著者は言っている。

魔法の杖があったらぜひ広めてみたいアイデアは何だろう?
そうやって自分を振り返ってみよう。

プレゼンとまでいかなくても、人の前で話すことは普通の人にもある。
同じ話すなら、少しでも聞く人の心に残るように話したい。

そのために一番大切なのは? っていうことを教えてくれたあと、
TEDでもっとも再生回数が多い登壇者のトークの構成を教えてくれる。

そして、つかみと締めを成功させる方法も
実例つきでおしげなく披露してある。

自分に合うところを取り入れて
自分のプレゼンを進化改善しようと思わずにいられなくなります。

著者は、私たち全員が互いから学ぶべき時代に突入したと言います。

オンライン動画によって、世界のどこにいても
自分の意欲次第で、良き教育者に出会うことができる現在。

自分の体験や洞察を他の人にわかるように説明しよう。
そうすることで、あなたのアイデアが他の人の中で
形を変えたり新しいアイデアになったり
世界観を広げたりする。