奮闘する、考える、どう生きるかを 『奮闘するたすく』


小学校高学年男子が奮闘するっていうと
なににだと思います?
奮闘ざかりですねー、10代前半。
野沢佑(たすく)、奮闘します。

けど、はじめから奮闘する気ではなかった。
それどころか「え~っ」と、げんなりした声を出し、
次には「無~」と、心からの拒絶の声が出かけていました。
が、拒絶できないはめにおちいったのです。
そのわけは?

そして、将来は人気芸人になるのが夢の友人、一平とともに
夏休みの宿題として
はじめはいやいやながら
奮闘します。

たすくは4年のとき、死んだあと人はどこにいくのか、と考えました。
それは、学校図書館で宇宙図鑑を見たときのこと。
2年前祖母が死んだとき、人は死んだら星になるって大人たちが言っていた。
この宇宙図鑑の写真の中に死んだ人もいるんだろうか、と思ったのだ。
もちろん4年生のたすくも、それはファンタジーの世界だとわかっていた。

人は死んだら空に行く。
空の上には宇宙がある。
そのどちらも自分は確かめたことはない。
けど、どちらも自分の頭の中にある。
じゃあ、もし自分がいなくなったら?
宇宙はなくなる。だって、考える自分がいないんだから。
今こうして、自分だとわかる自分がいて
その自分が亡くなった祖母のことを思ったり、
宇宙のことを考えたりしている。
ここに、おれと思えるおれがいる。
だからそれでいい。
と思ったちょうどそのとき、チャイムが鳴った。

図鑑を見ているうちに、
はるかな宇宙を旅して自分に戻ってきたみたいな
膨大な時間だった。

女子に「下品」だって糾弾されるCMの替え歌を歌いながら
走っちゃいけない学校の階段を全力疾走するたすくと、
宇宙図鑑をめくりながら人の死について考えるたすくと、
エプロン姿でまじめに見習いの仕事をするたすくと・・・
どれも「奮闘するたすく」だ。

そして、表紙の絵にあるように、
どの人も自分と思える自分が納得いく生を生きるために
奮闘しているんです。

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