小学校生活最後の1年、つぎつぎ起こる「事件」 『チームふたり』


4年になってクラブを選ぶとき、
軽い気持ちで卓球クラブを選んだ大地。
でも、だんだん本気になってきた。
引退試合で県大会に進みたいと思ってがんばっていたのに
顧問の辻先生は、
大地を5年の純とダブルスで組ませた。
最初不満だった大地だけど、
素直でがんばり屋の純の姿に
教えられることが多くあることに気づいていく。

けれどもそんなとき、父さんが会社をやめなければならなくなって、
卓球をやってる気分じゃなくなった大地。
だって、給料がもらえなくなったらうちの家計が苦しくなる。
新聞販売店に働かせてもらえるように頼みに行く大地。

卓球が楽しい、試合に勝ちたい、なんていうのは、
自分に余裕のあるときじゃなきゃだめなんだ、と気づく。
自分がそうなってみてやっと
女子の卓球部員のルリが練習する時間がないって言ってた家庭の事情に
心がいくようになるのだ。

父さんはふさぎこんでてカッコ悪い。
けど、母さんは、いち早く立ち直ってこう言う。
「正しいとかまちがっているとか関係なく、どうにもならないことが起こる。」と。
だからといって、だれかを恨んだり文句を言ったりしていてもだめだ。
そういうとき、仲間と手をとりあってがんばるんだ、って。

「チームふたり」っていうのは、ダブルスを組んだ大地と純であり、
父さんと母さんであり、
苦しいことを乗り越える仲間に共通のきずなです。

自分が人の良いところを見るようになると
相手の人も知らず知らずのうちに自分を助けてくれている。
それはそのときには気づかなくて、あとから気づく。

生まれて12年、
他人の気持ちに思いをいたすことができるようになる
最初の心の成長物語かもしれません。

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