町に近い山に住む犬たち。
「野犬」は、今や
もともと野犬だった犬たちだけではないらしい。
人に飼われていた犬が野犬にならざるをえない場合がある、
という、やりきれない事実を含んで話は進む。
犬どうしのつながり合いは、
動物としてあたりまえのことなのに、
われわれ人間から見ると
崇高
に感じられてならない。
「片目の青」は、そういう犬の一匹。
決して人に心を許さない。
そうなる理由があったから。
いったいこの話を作者はどうやって
終わりに導くんだろう?
と思いながらやめられなくなって読み進んでいく。
おとなの悪いところは世慣れているところ、
みたいに言われるけど、
(心ある)おとなは
世の中が自分の思うようは行かないってことを
知っているだけなのだ。
それをなんとか折り合いをつけようと苦しんでいるんだよね。
動物たちの無心さ、気高さ
人間のどうしようもなさ、
それでもなんとかやりきれなさに耐えて
生きなければならない葛藤
ってものを身近なところを舞台に描いています。
動物を愛する人のピュアな心が
多くの人に広がるといい。