自分が今の自分になったモトを発見する・・児童文学の効用

子どものころに読んだような気がする・・・
題名も、もちろん作者も忘れたけど、
子どものときに読んだ本の中の世界の空気を
思い出すことがあります。
そして、この空気、もしかすると
自分の心にずいぶん大きい影響を投げかけているかも・・
と思うこともたまにあります。

パトリシア・C・マキサック『クロティの秘密の日記』を
読んだら、
読み終わるころになって
『アンクル・トムの小屋』を読んだことを思い起こさせられました。
トムの静かで理性的な人柄。
そして、物語の中に出てくる人たちのうち、
黒人だとあたまから高飛車に接する人と、
人間として誠実に接する人の両方がいるのを
少なからぬ衝撃を受けながら
読んだことを思い起こしました。
それまで体験したことのなかった衝撃だったんだと思います。
この人はなんでこんな境遇になるのか、
そして、それをじっと耐えて受け入れている態度に
心を動かされていたんだと思います。
静かなその態度がわたしのその後の生きる態度に
影響を与えていたんじゃないかと、
ふと、そう感じました。

クロティという少女が黒人だから
教育を受けることができないという環境のもとで
字を覚えてひそかに日記を綴るというこの物語を
読み進むうちにそんなことを思いました。

日本のいなかで、人種差別ということを知ることなく
くらしていた子どものわたしの心に
本が、
新しい衝撃と、
どんな人がほんとうにりっぱな人なのか、
っていう さざなみを残したというわけです。

おとなになってから読む児童文学の効用って
自分の心を形成したものを発見することでもあるんだと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です