むかし自分が持っていたピュアな心を発掘してくれる

むかしは「知恵おくれ」っていうことばがあったな。
その表し方は、その人に対する考え方の表れで、
そこには、蔑みの気持ちではないものがある気がします。
じっさいに障がいのある人に会うまえの子どものころに
この本を読んだような気がします。
障がいのある人への心って、案外こういうところで
形成されているかもしれません。
「知恵おくれ」の「じろはったん」(次郎八という人の愛称なのです)に、妙に偏見を持たずに
「こういう人」として純粋に接する人たちが
心地よいです。
このものがたりは、
疎開(の子どもたち)をいじめたり疑ったりする心も出てくるし、
戦死もある。
そういう醜い面、苦しい面も描きながら
人びとを押し流しつつ時は流れて
じろはったんも死ぬ。
人の生きる営みは、こうして絶えず続いている・・
っていうことを淡々としかも容赦なく
訴えかけてくるものがたりです。
じろはったんの村に疎開してきて
村の人びとやじろはったんに世話になった
小学生と先生の様子やのちに届いた手紙が
むかし自分が持っていたような気のするピュアな心を
思い起こさせてくれます。

 

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