「赤いろうそくと人魚」は有名だから読んだ人は多いかもしれない。
けど、小川未明はほかにもたくさんの童話を書いている。
角川春樹事務所発行のハルキ文庫版『小川未明童話集』の
巻末エッセイで
森絵都さんが書いているように
「淵にはまる」という例えがぴったりくる
未明ワールド。
人の力ではどうしようもないことが
この世の中には起こるんだ
と思い知らされるお話も多い。
切ないお話。
かわいそうなお話。
多い。
筆致が柔らかくやさしいだけに
なおさらに哀しくかんじられるお話の中の空気。
弱い人、貧しい人に
太陽のではなく薄くて清い月の光を当てたようなお話の世界。
子どものとき読んだのと
大人になってから読んだのとでは
違った感じが残るでしょうけれど、
これを読む人が増えると
相手の立場を思いやる人が増えるんじゃないでしょうか。
ハルキ文庫の千海博美さんの装画挿絵すてきです。