古典をわかりやすく現代語にした本だろうなー
と思って読み始めると、
登場してくるのは、ファミレスでドリンクバーの
カルピスとメロンソーダを飲んでいる高校生男子。
次のコミケに出すもののアイデアがなく悶々としている。
それと日本の古典の真景累ケ淵とが
どうかかわってくるのか?
とにかくすでに24ページには、ページいっぱいに、
殺された按摩の宅悦が
恨めしそうにこっちをにらんでいる挿絵がはいっている。
いつもは訳者としておなじみの金原瑞人さんが、
昔から好きだという怪談話を
軽快に書き直してみせてくれているので、
「へーー、こういう話だったんだ~」と
どろどろした話なのに、
妙にすっきりとした気分になれます。
金原さんによると、日本の怪談は
どこの国とくらべても群を抜いて怖いようです。
その源流がこの累ケ淵をつくった三遊亭圓朝というわけです。
どうしようもない飲んだくれ男がおかす罪から始まる
長くおどろおどろしい悲劇でありながら、
細部を見てみると喜劇でさえある。
その、一見して矛盾しているけど
「そうかもしれねえなー」となぜか納得できる話の運びです。
人生そんなもんかもしれねえ、などと
したり顔をするつもりじゃないけど
悲劇と喜劇は背中合わせだって、思うことありますよね。
ストーリーで楽しむ日本の古典シリーズの20番目です。
ファミレスドリンクバー入り浸りの高校生3人(最初にいた1人に2人が加わり)は、
8月のコミケが終わって、
なっちゃんオレンジ・CCレモン・さわやか白ぶどうで乾杯している。
売れた冊数からして
「時給10円を切るな」という結果だったにもかかわらず
なんかおもしろかった、と言いながら。