いい作品を作り出した芸術家たちの側面

いろんなことに悩んだりするふつうの毎日。
ずっとむかしから人は、
こうやってちっちゃいことに苦しんで生きてきたんだろう、などと思う。
ちっちゃい自分の存在の中の、またまたちっちゃい出来事や人間関係にこだわりながら。
そういう生活の中で、
音楽や演劇や文学が励ましや癒しを吹き込んでくれます。
自分とはぜんぜん違う世界を表現した芸術であっても、
どこかで自分の存在を見直させてくれる部分があります。
また、そういう作品が自分にとっていい作品なんじゃないか、と思います。

で、いま読んでいる本は、
いい作品を作り出した芸術家たちと接して
直接話したり見たりしたことを集めた本です。
元産経新聞記者の人が著者。
小田孝治『ときめく美』ヒューマン
直接見聞きしたことを書いているので、
書かれた対象の人々の息遣いや人となりが伝わってきます。
書き手の姿勢がふつう(地位に対する特権意識がない)です・・

歌舞伎の幸四郎をじつはわたしはあまり好きになれないのですが、
これを読んで現代劇を見てみないと片手落ちだな~
なんて思いました。(今さら)

清元志津太夫は最晩年の舞台はわたしも見ました。
本文中に口調までところどころに写しているのが
微笑を誘います。

舞台照明の小川昇さんに
フランスの有名照明家ジャン・カルマンが弟子入りした話もいいです。
2日後に帰国する予定のとき、
小川さんの照明の舞台を見て、
頼み込んで弟子入りして一年間も修行したとのこと。
小川さんは
自分はただの裏方の一人で、弟子をとるような者ではないと断ったのを
カルマン氏があきらめずに頼み込んだのだそうで。
良い話です。

そういう逸話がいっぱい書かれてあって
いろんな分野の「求道者」たちの側面が
興味深いです。