舞台はアラスカの小さな村。
学校は一つだけで先生は一人きり。
そこに来たアグネス先生によって
子どもたちと村の人たちが
「学ぶって楽しい」
と感じるようになるまでが描かれます。
アグネス先生は、昔話をつぎつぎに読んでくれる。
大昔の人たちが、こんなことを思いつくなんてすごいなあ、と子どもたちは思う。
先生に本を読んでもらうと、物語の中にいるような気持ちになって
読むのをやめると夢からさめたようにショックだ、と感じる。
耳が聞こえないからと当然のように学校に行かないままだった
ボッコが「学校に来なさい」と言ってもらった。
そうしてだんだんと
村の人が手話を勉強するようになった。
ほかの勉強がぜんぜん苦手な子が、
なぜか手話を覚えるのがとても早いっていうこともあった。
学校は子どものためだけにあるのではない。
人は生涯、勉強を続けなければならない、とアグネス先生は言う。
サケがたくさんとれたら、3桁の足し算ができると合計何匹とれたのかわかる。
学校でアグネス先生から習ったことが、生活のあちこちで関係ある。
学校なんか、先生なんか、と言っていた村の大人たちも
だんだんと変わってきた。
それまでは目もくれなかったまわりの世界や
遠い世界のことまでも見えてくる気がする。
アグネス先生は違う学校に移って行ったけど、
たぶん夢を持ち続けてそれに向かっていけば、
いつかは夢がほんとうになるって思うところまで
子どもたちは変わった。
本によって、学ぶ楽しさによって、
人は心の中に希望をともして生きて行けると再認識し、
口の両端があがる読後感です。