ずんずん読めて、明治の空気感にひたれて、意外な展開がいっぱい

ちょっと太めでとろめの12歳の男の子 大和が
茶碗の中のお茶に映った見知らぬ男の顔を
見たことから、明治時代に迷い込んでいきます。

大和の先祖は、梅枝(うめがえ)家といって当時、男爵。
彩子、勇二郎、新子という3人の子がおり、
どうも大和はこの勇二郎と
入れ替わってしまったようです。

彩子の婚約者・葛城伯爵は美男で一見完璧な人だけど
梅枝家の屋敷にいつの間にか忍び込んでいたり
壁をすりぬけて消えてしまったり
怪しいところがあります。
しかも、腕には謎の傷を負っている。

そんなとき、勇二郎の妹・新子が何者かに誘拐される。
大和は、以前 梅枝家に仕えていた車夫の簑吉とともに
新子を救出に向かうが、
突き止めた場所はなんと、葛城伯爵の屋敷だった。

新子を見つけ出し、
ナイフを振りかざす伯爵に簑吉が立ち向かうと、
伯爵の口は耳まで裂けている・・

小泉八雲『茶碗の中』はあるところで話が途切れているが
それはなぜなのか、ここで明らかになる。
また、簑吉もただの車夫ではありませんでした。

え~、そうだったの?
というどんでん返しがいくつも用意されていて、
最後まで一気に読めます。

ミステリーであって
歴史ドラマであって
日本人の心や美しい日本語に出会う文学であって・・
というエンターテインメント佳作だと思います。

 

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